残された人生の生き方を求めて

平均寿命まではまだまだですが、50代後半に差し掛かって、残された時間で、本当に知りたかったこと、そしてその答えを探していくなかで、お念仏に出会いました。私の考えたことや、その手助けになった本や体験を書いていきたいと思います。

いちばん大きなもの

だいぶ前の記事で、物理学と阿弥陀仏の物語には似ているところがある、ということを書きました。 thinking-about.hatenablog.com 私は物理学の専門家でもありませんが、宇宙やそれに関連した相対性理論、量子力学などに興味があって、専門書ではないのですが…

極楽浄土の存在

今現在、私は念仏を唱える毎日を過ごしています。しかし、実際に自分で念仏を唱えるまでには、時間がかかりました。浄土の教えそのものには、ずいぶん前から納得はしていたと思います。特に『歎異抄』に書かれている内容は論理的であり、私にとっては、大変…

酒井義一氏のご法話を聴いて

今年(2020年)に入ってコロナウイルスの影響があり、講演や法話を聴く機会が少なくなってしまいました。そこで、Youtubeなどのサイトで講演や法話を聴く機会が多くなりました。その中で、つい数日前に視聴した法話について、書きたいと思います。講師の方は…

ある法話会にて

ある法話会に参加をしました。浄土の教えに関する法話でした。 お話の後に、講師の方が参加者からの質問を受ける時間を設けてくれました。その時、ある年配の女性が、何度も質問をしてきたのです。 その質問内容は、仏教や浄土の教えに関しては、かなり初歩…

損することと得すること

阿満利麿先生の本の中で、強く印象に残っている一節があります。「歎異抄」を訳された本で、第三章の阿満先生による解説の部分です。 自己の欲望を追及することが人生という近代以降の風潮のなかで、自己中心であることが原因で起こる摩擦、軋轢、悲劇を認め…

念仏と共に生きる

久しぶりの更新です。8月以来でしょうか。それほどたくさんの人が見てくれているブログではないのですが、さすがに間が開き過ぎですよね。色々書きたい事もあったのですが、生活が変わって時間がなかなか取れなくなったこと、そして考えるところもあり、新し…

自分の欲深さ

私も色々なことをこのブログで書いてきました。少し読み返すと、「随分、偉そうだな」と自分で恥ずかしくなる記事もあったりしますが、これも一つの記録なので消さないで残しています。 偉そうなことも書いているくせに、相変わらず欲深くダメな自分を痛感す…

「縁」という考えがもたらしてくれたこと

仏教には「縁」という言葉がよく出てきます。「因縁」「業縁」「縁起」など、「縁」はひとつのポイントになっている気がします。そして、今の私は「縁」というものを強く実感しています。 この記事を見てくれた人には「縁」についてよく知らない人もいると思…

布施行について

前回、お金について書きました。それに関連して仏教でいう布施について、思うところを書きたいと思います。 布施とは仏教では大切な行なのだ、という知識は、以前から知っていました。ですが、なぜその行をするのかよく分からず、結局「布施」とは法事の時に…

お金

お金というのは、本当に恐ろしいものだと思います。 世の中の起こる様々な事件、トラブル、悲劇的なできごとのほとんどには、お金が関係しているのではないでしょうか。私は歴史の専門家ではないので、あくまでも私の知る範囲での想像ですが、戦争の原因も金…

『男はつらいよ』寅さんに思う

新型コロナのために、自宅で過ごす時間が多くなり、Netfrixに登録して映画を見始めました。その中で『男はつらいよ』シリーズを見たのです。 『男はつらいよ』シリーズは、20代のころ友人に勧められて見たのが最初です。それからしばらくはまって、その当時…

仏像にまつわる思い出話~弥勒菩薩半跏像~

今回は仏像にまつわる思い出話を書いてみます。 私は十数年前から京都が好きになり、それ以来、年何回か訪れています。ですが、京都に行くようになったから、今のように仏教に関心が起きたわけではありません。つい一年ほど前までは、京都で好きなところは仏…

正しいと思う行いをすること

自分が正しいと思った行いをする。いけないことだ、と思うことはしない。そうすれば、胸を張って生きていける。自分のしたことが評価されなくても、報われなくても、きっといつか理解してくれる人は現れてくれるはずだし、何より、自分自身が堂々と生きてい…

音楽を楽しむ心

私は若いころから音楽が好きでした。自分ではピアノ・キーボードを弾き、実は若いころはプロミュージシャンを目指して、実際に音楽関係の仕事をしていたこともあるのです。もちろん、そんなに大きな仕事を経験したわけではなく、歳をとるにつれて次第に音楽…

法蔵菩薩 ~阿満利麿先生の講演を聞いて~

先日、阿満利麿先生の講演を聞き、それについて感じたとこを記事にしてきました。前回の記事で、先生の本や話には、仏教に素人である私の素朴な疑問に答えてくれる内容が多い、ということを書きました。今回聞いた講演でも、いくつかあったのですが、その中…

六道に思う ~阿満利麿先生の講演を聞いて~

前回の記事で、阿満利麿先生の講演を聞いて、自殺に関することを書きました。その中で、六道輪廻について触れて、果たして私は「輪廻」や、地獄や餓鬼などの「六道」を信じているのかという、自分自身の疑問も書きました。今回はそれについて、やはり先日の…

自殺では解決できない事 ~阿満利麿先生の講演を聞いて~

先日「日本仏教鑽仰会」主催の阿満利麿先生の講演会に行ってきました。阿満先生の講演を聞くのは二度目になります。演目は「『教行信証』に学ぶ」でした。 『教行信証』についての話がメインですが、むしろそれ以外のお話が多く、印象に残る話もたくさんあり…

法然院「新春法話」を聞いて ~私は極楽浄土を信じているのか?~

今年(2020年)のお正月は京都で過ごし、法然院で行われた梶田正章住職による「新春法話」を聞いてきました。実は今回の法話を記事にするつもりはありませんでした。なかなか聞けない法然院での法話なので、いつも以上に聞くことに集中したかったのです。こ…

「ネクラ」と「負け組」

30年以上前、私が大学生のころに「ネクラ」という言葉が生まれて急速に広がりました。性格のことを明るい暗いと表現することはそれ以前からあったと思いますが、根が暗い、つまり「ネクラ」という言葉がその頃現れたのです。 その当時、私の周りの空気は、ネ…

ある元衆議院議員の死

このブログは私の考えたことをまとめていこうと思って始めたので、時事的内容や日記的な内容は書くつもりはありませんでした。ですが、つい昨日、自殺について思うことを記事にまとめてアップしたあとに、ある元衆議院議員の死のニュースを知りました。 まだ…

私が自殺を選ばない理由

浄土の教えを知ると、極楽浄土へ行くために早く死んだほうがいいのではないか、と思ってしまいます。阿弥陀様を信じて念仏を唱えて自殺をすれば、極楽浄土へ往生できるんではないか、とふと考えてしまいます。これまで私まだ、仏教で自殺をはっきり否定し、…

初めて『浄土三部経』を読んで(その2・極楽浄土への憧れを持つこと)

浄土に生まれたい、そう願えばいいではないか、そのために阿弥陀仏が誓願をたてて極楽浄土を作ったのではないか。お釈迦様は、こう訴えかけているように私は感じました。 ですが、極楽浄土と言うのはどこにどのように存在しているのでしょうか。阿弥陀仏はど…

初めて『浄土三部経』を読んで(その1・繰り返される極楽浄土の素晴らしさ)

私のこれからの生き方を考えた時、一つの大きな指針となるのではと感じたのは、浄土の教えでした。最初のきっかけは『歎異抄』です。もう十年以上も前に出会った本ですが、この1年ほどで、その内容が実感できるようになりました。そしてその後、関連する本…

『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』名越康文

『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』名越康文 PHP新書 2014年11月28日発行 精神科医である著者が、タイトルにある根源的な問いかけについて考えていきます。著者がそのような問いかけを持つに至った経緯も語られています。そして、自身を仏教の専門家ではない…

物を持つことについて

先日、車の定期点検に行きました。もう7年くらい乗っているのですが、大きな問題はありませんでした。ただ、ワイパーのゴムが劣化して交換を勧められましたが、まだ大丈夫と断りました。だからまだ交換はしていません。 物を持っていると、必然的にやらなけ…

【法話】「現代を生きる力としての仏教」釈徹宗

神奈川県横浜市にある、「慈陽院なごみ庵」の法人化記念行事として、2019年12月8日、東神奈川の「かなっくホール」へ、釈徹宗先生の法話を聞きに行きました。 講演や法話を聞くときには、聞くことに集中したいので、今回もメモは取りませんでしたし、録音な…

現世利益

もう十数年前のことです。私は離婚を経験し、その時同時に同居していた母を癌で亡くしました。母はスキルス性胃癌で、発見されてから亡くなるまで1ヶ月もなく、あっという間のできごとでした。その最中に妻は私の元から離れていきました。1ヶ月の間に母と妻…

ミクロの世界と阿弥陀仏の誓願

私は若いころから科学関係の本、特に宇宙や物理学に関する本を読むのが好きでした。もっとも素人なので、一般向けに書かれた新書等がほとんどで、専門書を読んできたわけではありません。例えば、宇宙の起源や果て、それに関連して相対性理論、量子論や不確…

他の生命を奪って生きること

私たちは、他の生物の命を奪い、それらを食べて生きていて、その時点で悪を背負っている、と言われます。 そのことは理解できることですが、私は実感として強く罪の意識は感じたことはありませんでした。動物にしても、植物にしても、人間に食べられるために…

『人間の運命』五木寛之

『人間の運命』五木寛之 角川文庫 2013年2月25日発行 自らの生い立ちや過酷な戦後の引き上げ体験などを通して、著者は「宿業」「運命」を考え続けてきました。私たちは「悪」を犯さざるを得ない存在なのでしょうか。自分の「努力」で「運命」は変えられるの…